電波塔

21世紀型スノッブを目指すよ!

靴に住む老女

一度さらっと読んだ J. M. Coetzee の Age of Iron を読んでいると、よくわからない文に行き当たった。

So now I have five people in the backyard. Five people, two dogs, and two cats. The old woman who lived in a shoe. And I didn't know what to do.

という二章始まってすぐにある段落で、これはお手伝いの Florence が子供たちを連れてきたことを受けた主人公が綴る言葉だ(この小説は一人称視点で書かれている)。
後半の二文が唐突でよくわからなかった。恐らく最初に読んだ時は何かの慣用表現だろうと思って読み飛ばしていたのだろう。くぼたのぞみ訳ではここに注釈がついていて「マザー・グースのもじり」とだけある。もう少し調べてみると Wikipedia のエントリがあった。
http://en.wikipedia.org/wiki/There_was_an_Old_Woman_Who_Lived_in_a_Shoe
全体としては以下のような詞らしい:

There was an old woman who lived in a shoe.
She had so many children, she didn't know what to do;
She gave them some broth without any bread;
Then whipped them all soundly and put them to bed.

色々異なるバージョンもあるようだ。
知っている読み手には(そこまでよく知られているものなのか推測がつかないが)引用されていない後半の二文も想起させられるのだろう。実際には主人公は「パンも与えず、鞭でベッドに追い立てる」ような残酷な仕打ちはしないのだが、冗談めかしているのだろう。