電波塔

21世紀型スノッブを目指すよ!

観たもの、2014年8月

展覧会「不思議な動き キネティック・アート展 ~動く・光る・目の錯覚~」 @損保ジャパン東郷青児美術館

http://www.museum.or.jp/modules/im_event/?controller=event_dtl&input%5Bid%5D=82788
キネティック・アートというのは初めて観たけれども、雑にまとめれば錯視などの視覚効果を利用したアートということになるだろうか。何となくこういうのは「作者の精神と向き合う」「作品の有機的な構成を楽しむ」みたいな(言ってしまえば19世紀的な)芸術観からすると「アート」と括ることに抵抗を覚えないでもないでもない。とても面白いのだけれど。逆に考えればこういうものも「アート」と扱われるようになったことはこの言葉の捉え方が変わったと言うことなのかもしれない。

映画「VHSテープを巻き戻せ」

VHS でしか観られない(他のメディアにはない)映像の世界について嬉しそうに語る人々がひたすら映っているドキュメンタリー。面白かったけど、白石晃士氏(映画監督『コワすぎ!』シリーズ)と坪井篤史氏(名古屋シネマスコーレスタッフ/VHS狂人)の禁断の秘蔵VHSの上映を含むアフタートークが強烈すぎて、映画よりも記憶に残っている。

Erimaj@コットンクラブ

ジャマイア・ウィリアムズの率いるバンド、各人の技量の高さはわかったがバンド全体としての方向性はいまいち。モコモコして何をやっているのか届かないPAのひどさ(バンドのやりたいことがはっきりしないからやりづらかったのかもしれない)とも相まって満足度の低いライブだった。上手くないなら歌わなくても良いのに。コードチェンジの少ないところでバンドとしてのサウンドのまとまりの無さが致命的だったように思う。

「フィオナ・タン まなざしの詩学」@東京都写真美術館

http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-2248.html
明示的なストーリーを廃しながら、被写体の背後にあるストーリーを強く暗示する映像作品の数々。異なる撮影手法によって最古の個人博物館を写した6つの映像を同時に一面の壁に映す「インヴェントリー」と、写真収集家の間をめぐっていくドキュメンタリー「影の王国」が特に記憶に残っている。「イメージを残す」ということに対する面白さについて考えることをエレガントに触発してくれた。
この展覧会に触れた記事があり、面白かったので以下に引く。
あらためて知っておくべき映像作家フィオナ・タンの美しき世界
http://www.cinra.net/column/fionatan-manazashi-report

サントリーサマーフェスティバル

シュトックハウゼンの「幻の作品」「暦年」(雅楽版・洋楽版)を聴きに行った訳だが、これが正直にいってあんまり楽しくなかった。演出は本当に寒いし音楽も冗長だった。もっと取り上げて良い作品はあるんじゃないかと思った。