電波塔

21世紀型スノッブを目指すよ!

行った展覧会、2014年3月

書いてしまわないと忘れそうだったので、荒っぽいが書き留める。

プライベート・ユートピア ここだけの場所 ─ ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在 東京ステーションギャラリーにて

http://www.britishcouncil.jp/private-utopia/about
最終日に駆け込んできた。急いで観たこともあって正直に言うと結構印象が薄い。物語性の強い作品が多かったので駆け足で観るには向かない。

ザ・ビューティフル ─ 英国の唯美主義 1860-1900 三菱一号館美術館にて

http://mimt.jp/beautiful/
唯美主義というムーブメントがどういう背景で起きたのか、絵画だけでなく家具や装飾物デザインなどと共に見せてくれる丁寧な展示。
背景とはつまり大量生産された工業製品の氾濫した社会、とはいってももっと後の時代に生じる画一的なイメージというよりは、粗雑な造り・品質でデザイン的にも劣ったものが身の回りを満たしているという状況。そして唯美主義はそれに対するアンチテーゼ。反動として掲げられていた「美」というのは自然というか生命感、豊饒さ、そういったものへの指向を感じる。彼らの描く女性像はそれ以前の時代のものよりも実に表情などが蠱惑的に描かれており、率直に言うとその充満するエロティシズムに少し食傷気味になりもした。
ホームページのトップにも使われているアルバート・ムーアの大作「真夏」は非常に優れた作品で、これが掲げられた最後の展示室に来た瞬間に、この展覧会にも来た甲斐があった、と思わされた。

テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢 六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリーにて

http://prb2014.jp/
唯美主義展からはしごで行くことに(両方行くと相互割引制度で200円安くなる)。時代的にはこちらが先。引用元の神話や戯曲などがわからず悔しい思いをする作品が多い。こういう経験をするたびにもっと知識を深めようと思うのだが、なかなか達せられない。
ミレイの「オフィーリア」を筆頭に有名な作品がいくつも並んでいてなかなか見ごたえがある。彼らの写実性は写真かと見紛うほどですらあり、驚くばかり。空想上の光景もまるで見てきたかのように描かれている。それが行き過ぎているせいかこちらの想像力が掻き立てられないきらいすらある……。

日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画東京都美術館にて

http://www.tobikan.jp/exhibition/h25_inten.html
展示替えの前後とも観たかったが、伺えたのは後期のみ。流石に100年の歴史から選りすぐりの作品が並べられているだけあり、見ごたえがあった。
最初の展示室からして、狩野芳崖「慈母観音」や横山大観屈原」といった作品の威風に当てられた。一口に日本画と言っても時代ごとに様々な試みが為されていてとても面白い。

ミヒャエル・ボレマンス 「アドバンテージ」 原美術館にて

http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html(美術館全体のトップページ)
ボレマンスは存命中のベルギーの画家。とても堅実に描かれつつもささやかに現実との境界が薄れ非現実へと通じていくような絵画。手法的にはいささか前時代的に感じる面もあるが、作品からは新鮮な印象も与えられる。最終日ながら混雑していなかったことも手伝い、絵の中に流れる時間に入り込めるように楽しめた。